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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
動物園なんて、家族で行ったことはなかった。それどころか、家族揃って誕生日を祝ってもらった記憶すらない。
ゲームソフトなんかより、そっちの方がずっと羨ましく思えた。
「……それ、やりたいなら貸してあげるよ。俺もうクリアしたし」
「マジ!? うわーおまえすっげーいいやつぅ!」
ゲームソフトを両手で握り手放しで喜ぶクラスメイトに、晃は冷ややかな視線を向けた。
単純で、馬鹿だと思った。そんなもの一つで喜ぶ友人を。同時に、そんなふうに人を見下すことで自分の寂しさや不満をごまかそうとしている自分にも、嫌気がさしていた。
晃の両親が用意するプレゼントは、子供に渡すには金銭感覚が狂いすぎている物ばかりだった。
流行りの服や最新ゲーム。時には一体何万もするラジコンも。会えない時間、家にいられない時間が増えるに比例して、与えられる品物の額もあがっていくのだ。
それでも最初はきちんと選んで品物をくれたから良かった。それがいつしか金銭になり、自分専用の口座ができてからはことあるごとにそこに金が振り込まれるようになった。