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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
その時だった。
キョロキョロと落ち着きなく周りの人形に視線を移ろわせていた晃の瞳が、止まる。
視線はまるで吸い寄せられるように、ある一体の人形を捉えたまま離せなくなった。
「すごい……」
晃は思わず嘆息していた。
その人形も、やはり和風の日本人形だった。ガラスケースにしっかり入った、等身大のものだ。
この店ではかなり高価なものなのだろうと、子供ながらに予測できた。
それくらい、纏う雰囲気が違うのだ。
豪奢なかんざしをつけた漆黒の髪は、背辺りまで伸びている。同じく漆黒の瞳は、強い眼光を宿して正面を見据えていた。
透けるような白い肌。紅を塗ったように赤い唇が艶めかしい。
着物は唇よりもやや濃い、赤色をしていた。
目に痛いほどの華やかさなのに下品に見えないのは、きっと人形の美しさのせいだ。
下品などころか、ガラス越しに佇む姿はとても優美で、意志の強い瞳のせいか、とても高貴な印象を与えた。
晃はまるで惚けたように、その人形に釘付けだった。
物欲を満たすのとは少し違う。それでもその人形に、どうしようもなく惹かれていた。