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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
「俺、おばさんのこと好きだよ」
本屋を見終え、ショッピングモールを出た時、唐突に宵が口を開いた。
おばさんというのが誰のことかわからずに、晃は「ん?」と聞き返す。
「おまえの母親」
「ああ。そういえば宵は知ってるんだよな、俺の母親」
「志穂さんの世話してくれてた人だったし。俺も世話になったよ」
「宵も?」
「うん。……話す時、なるべく喉を圧迫しない姿勢を教えてくれたの、おばさんだった」
――お母さんとあんまりお話できないの、寂しいでしょう?
疲れを顔に滲ませることなく、穏やかな微笑を浮かべてそう問いかけてきたのは一体いつだったろうか。
昔すぎて思い出せなかったが、それが晃の母親だったのは記憶している。
そして、喉に腫瘍のできる病気を患っていた志穂になるべく負担がかからない姿勢を教えてくれたのだ。
気恥ずかしさと詰めていたアルバイトの忙しさから、志穂の見舞いを怠っていた宵にはあまり彼女と会う機会はなかったが、晃の母親がとてもいい人だったのは覚えている。