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Memory of Night 番外編
第1章 こたつでお仕置き
晃が二人分のお茶を用意し襖を開けると、いつの間にか、そこにいるはずの宵の姿が見あたらなくなっていた。
(あれ?)
晃の家では唯一の和室である十畳一間を見渡しながら、首をかしげる。
赤い布団で彩られたコタツの上には、来客用の木の器に山積みにされたみかんとお茶菓子、勉強道具がまだ置かれたままになっていた。
宵が使っている教科書や筆箱も置きっぱなしのままなので、どうやら帰ったわけではないらしい。
「宵?」
茶を並べながらつぶやいてみるが、返事はない。
だが、耳を済ますと微かな寝息が聞こえた。
思い当たってこそっとコタツの向こう側を覗けば、案の定、そこに宵の姿はあった。
宵は部屋の出入り口付近からちょうど死角になる位置に、体を丸め、背中の半分辺りまでを布団の中に潜り込ませるような体勢で眠っていた。
「まったく。一体何をしに来たんだか」
晃はそんな姿を眺めながらつぶやいて、苦笑を洩らした。
もともと今日、宵が晃の家を訪れたのは、宿題を一緒にするためだったはずなのだ。