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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!

 大山はわなわなと、メイドの胸元を指さす。そのCカップは一体どうしたというのかと。
 だが宵は、自分の胸を鷲掴みにして平然と答える。

「これ、パッド」

 ああ、なるほど。

「……って、なんでそんなものつけてるんだ!」

 一瞬納得しかけるも、すぐにそう突っ込みを入れる。

「ナマ足まで出して色仕掛けなんてずるいぞ!」

 見とれたり躊躇したりせず、さっさと手錠を嵌めてしまえば良かったと大山は嘆いた。

「だからこの服俺が選んだわけじゃねーっつの」
「彼女と行くはずだった温泉旅行が……」

 大山はがっくりと肩を落としてうなだれた。
 宵はそんな友人の様子を、鬱陶しげに見つめる。

「知るか。自腹で連れてってやれよ」

 それから持っていた手錠を軽く揺らし、言った。

「この悪趣味な武器、ちょっと借りる」
「は? 何に……」
「ひーみつ」

 そのままメイドは身を翻し、古びた教室を出ていく。
 建て付けの悪いドアは、再び耳障りな音を響かせた。
 その後ろ姿を見送りながら、思う。
 ――完敗。

「昼飯だけって、安いだろ……」

 大山はまだ微妙に違和感のある腹をさすりながら、ため息とともにつぶやいた。
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