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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!

 宵は立ち上がり、もう一度向かいを覗いた。やはりまだ、彼は先ほどと同じ場所に立っている。携帯を耳に当てているのが見え、電話中のようだった。

「こそこそ隠れる必要もないんじゃない? 宵はもう俺に捕まってるわけだし、手錠を嵌められた時点で、誰も手出しはできないだろう?」

 言われてみれば確かに、と思う。宵は拘束された手首に視線を落とした。
 結局晃に捕まってしまったわけだけれど、いつも一緒にいる晃なら景品としての自分はほとんど無意味だし、むしろ温泉旅行が手に入るのだ。他の誰に捕まるよりも、得な気がする。
 何よりこの妙な鬼ごっこから解放されるのだ。

「あ」
「んあ?」

 ほっと胸を撫で下ろした宵だったが、晃が何かを思いついたように声をあげ、不機嫌に振り向いた。

「もっと面白いこと思いついた」
「面白いことぉ?」

 なんだろう。ものすごく嫌な予感しかしない。
 晃は宵にうさんくさい笑みをみせた。
 いぶかしがる宵に、こんなことをつぶやく。

「せっかく明ちゃんにあれ借りたんだしね」
「はあ?」

 さっぱり意味がわからなかった。
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