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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!

「――ふぅ」

 男子生徒は携帯を閉じ、小さくため息をついた。
 電話は今日文化祭に来る予定の、他校の友達から。
 道がよくわからず、迷ってしまったのだという。仕方なく、メイド探しを中断しいろいろと目印を教えた。
 そうしたら、思いのほか時間がかかってしまったのだ。
 メイド役の子に見つかると逃げられるおそれがあるので歩きまわりながら電話をするわけにも行かず、この階の端の男子用ロッカールームで通話が終わるまで過ごすことにしていた。
 一階から順に見てまわったが、メイドなんてどこにもいなかった。それどころか、人っ子一人いない。
 ただてさえ灯りのない旧校舎は薄暗く、人気がなければなおのこと不気味だった。
 一応教室らしき場所は、二階までは一通り見てまわった。三階にたどり着いたところでさっきの電話に邪魔をされたので、まだ三階はこのロッカールームしか覗いていない。
 けれども正直、気がそがれてしまっていた。
 そもそも彼がこの鬼ごっこに参加したのは、単純な興味本位からだった。そこまで本気ではない。
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