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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
小さいながらもどうにか聞き取れる声量で、そんな言葉が聞こえてくる。
どうやら道を教えているらしい。
男子生徒が順に挙げていく目印やら信号の名前は見覚えがあるものばかりで、この学校の場所を指しているんだろうと推測できた。
「うん、だからそっちじゃなくて信号を……ちゃんとメモっときなよまたわかんなくなるんだから」
やや苛立ちを滲ませて、男子生徒の声が響く。
(どうでもいいから早く出てけよ……)
心の内でつぶやいて、テーブルの扉の隙間から、外を窺おうとした刹那。
「あ……っ」
股間に置かれたままだった晃の指先が、わずかにまた動き始めたのだ。
不意打ちだったためこらえることのできなかった声が、宵の唇からこぼれ落ちる。
だが次の瞬間には、晃の長いごつごつした指を二本口に押し込まれていた。
「ふう……っ」
「続き」
耳朶を甘噛みされながら囁かれ、宵は体を震わせた。
宵は必死に首を振る。
男子生徒の声が、ここまではっきり聞こえているのだ。逆に言えば自分たちの声や物音だって、すぐ外に洩れてしまうということ。