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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
「なら……」
晃はそこで言葉を切り、宵に挑戦的な眼差しを向けた。
「君が俺を捕まえてごらん、制限時間内に。そうしたら、俺が君をクラスに連行して温泉旅行に連れていってやるよ」
宵は呆然と晃を見上げた。
人の上に覆いかぶさり、今にも襲いかかってきそうな体勢で何を言うか。
「悪い話じゃないだろう?」
「ちょ……っ」
宵にさらに顔を寄せ、耳元でそう囁いてくる晃に、戸惑うばかりで宵は反論できなかった。
確かに温泉は魅力的だが、それまでの道が苦難すぎる。
ふいに晃が自らの手をズボンのポケットに入れ、何か取り出した。
宵が眺めていると、それは一つの小さな鍵だった。
「それ……」
「手錠の鍵」
言いながら、両手首に嵌められた宵の手錠に鍵を嵌める。
わずかに鎖が鳴り、手錠はすぐに外れた。それを確認すると、あっさりと身を引く晃。
「これでOK。メイドさんが逃走中に手錠嵌められてたら変だしね。もう誰かに捕まったってことになっちゃう」
実際、晃は自分を捕まえているのだ。そういうことになったって、なんら不思議なことじゃない。