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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!

 このやりとりにもそろそろ飽きてきたらしい。
 宵はどこか投げやり気味に、命じてきた。

「明、今すぐ手錠取ってこい」
「えー……あたしこれからキャベツ持ってかなきゃなのに」
「キャベツ?」
「屋台に持ってくの、足りなくなりそうだから」
「そんなん知るかよ、いいから早く……」

 そこまで言いかけて、宵の言葉がぴたりと止まった。

「……やっぱいーや」
「え?」

 何かが閃いたのか、不機嫌そうだった宵の表情も変化している。
 宵は訝しげに首をかしげる明を見据え、こう提案してきた。

「手錠いらねーからさ、ちょっと協力しろよ」
「……は?」
「暇?」
「まあ……。今日の午後は一応フリーだから暇って言えば暇だけど」

 協力、という言葉に、なんだか嫌な予感がする。

「いや、でもやっぱりキャベツ届けなきゃだから忙し……」

 宵から目を逸らし、慌てて言い繕おうとする明に、宵は構わずその方法を提案する。

「ええっ?」
「おまえのせいでこんな格好するハメになってんだから、嫌とは言わせねーぞ。暇なら付き合えよ」

 それはさすがに言いがかりな気がする。メイドの鬼ごっこはクラス全員で決めたことだし、宵をメイド役にしたのだって明の意見ではない。
 けれどもせっかくの文化祭。昼も食べずに隠れて過ごさなければならなくなってしまった宵を不憫に感じてしまうのは確かだった。
 明は肩をすくめた。

「……わかったよ、協力するよー」

 そうしてしぶしぶ頷くほかないのであった。
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