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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!

「――ふーん」

 晃は旧校舎の方へと駆けていくメイドを眺めながら、唇をにやりと歪めてみせた。
 グレーのパーカーをたった一枚羽織っただけの宵をたまたま屋台の前で見つけた時は驚いたが、今になってようやくその意図が読めた。おそらく自分をおびき寄せるため。
 あれほど人前に出るのを嫌がっていた宵がここまで出てきた理由は、それくらいしか考えられない。そしてその場所は、今まで彼が隠れ蓑にしていた旧校舎に間違いないだろう。
 ここで自分が、宵を追うか追わないかは自由だ。無視することもできる。
 だけれどやはり、それでは面白くない。
 晃は周辺を見回した。文化祭目当ての客たちはそれなりに減り、飲食物を売る屋台では、すでに半分以上が値段を下げたり量を大盛にしたりして配り歩くとうう、最後の追い込みをやっている。
 二日間に渡る文化祭も、そろそろ終盤を迎えようとしていた。
 晃は一度深呼吸し、駆け出した。
 温泉旅行は魅力的だが、あっさり捕まってやる気もない。
 今度はどうやっていじめてやろうか考えながら、晃は宵を追った――。
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