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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
けれど今回はどうしても許せない、腑に落ちないことがあったのだ。
「……気付かなかったくせに」
「え?」
うつむき気味につぶやく宵の声がきちんと聞き取れず、晃は尋ね返す。
「なんて?」
「気付かなかっただろ、明に身代わり頼んだこと!」
きっと顔をあげて怒鳴りつけると、晃は一瞬ぽかんとなった。その反応もむかつく。
「あのまま俺が出ていかなかったら、何してたんだよあいつに。独占したいとかなんとか調子のいいこと言ったって、結局おまえメイドが好きなだけじゃねーか? 普段は明とのことごちゃごちゃ言ってくるくせに、おまえだって……」
「それ、ヤキモチ?」
もやもやしたものをぶつけるようにまくしたてていた宵の言葉を、晃の一言が遮る。
「…………あ!?」
宵は思わず鋭い声で叫んだ。
晃の右手が、宵の髪に触れる。ウィッグをかぶっているため、その髪は赤茶色だ。
「どけよっ」
宵は苛立った気持ちのままその手を払おうとしたが、晃は腕を引っ込めようとはしなかった。
宵の髪に触れていた手を今度は壁につき、宵の体を自分の体と壁の間に閉じ込めてしまう。