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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
またイタズラじみた何かをして、ごまかそうとでもいうのか。そんなことでうやむやにされてたまるか、と思う。
宵は晃の瞳を気丈な瞳で睨(ね)めつける。
晃はもう一方の手を持ち上げ、その指を宵の顎に添えた。
「なん……だよっ」
今度はキスでもする気だろうか。
けれど、晃は間近で宵の顔を見つめるだけで、何かをしてくる気配はない。
暗闇の中、晃の表情は読み取れなかった。だからこそ、次に何をしてくるのか予測できず、警戒してしまう。
けれど晃は何もしなかった。
代わりに、一言だけ。
「――ごめんね」
「え?」
予想外の言葉に、戸惑う。
晃は変わらず宵の顔を覗きこんでいる。
「本当、なんでわからなかったんだろうな。顔も背格好も、全然違うのに。俺は宵の方が綺麗だと思うよ」
「な……何言ってんだよ!」
予想だにしなかった。ここで言葉での羞恥責めとは。
宵はたまらず真っ赤になって晃から視線をそらした。
今が夜で赤くなった顔を見られなくて本当に良かったと思う。
「でも、宵に声をかけられる前に、宵じゃなかったってことは気付いた。だから何もなかったよ。それは本当。信じて?」