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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
ちらりと時計を確認すると、まだ朝のホームルームまで十五分ほど時間があった。
昨晩は大西晃(おおにしあきら)の家に泊まり直接学校にきたため、几帳面な晃に合わせて早めに登校する羽目になってしまったけれど、今思うと都合が良かったのかもしれない。
返しに行く時間がある。
「面倒なことするなー、おまえ」
「面倒っつかほとんど知らねー子ばっかなんだけど」
名前が書いてあっても、誰だかわからなければ返しにいけない。
どれどれと、大山もいくつか宵が持っている便箋を覗き込んだが、軽く首を振った。
「わからんなー。学年違う子も混じってるんじゃないか?」
「なんでこれ置いてったやつらの顔見とかなかったんだよ?」
「知るか! おまえへのチョコの差出人なんて! 毎年義理しか貰えない俺への嫌味か? 当て付けか?」
隣で大山が騒ぎ立てる。
「あ、これ名前すら書いてねえ」
「……って、また俺の言葉は無視か」
一応そう突っ込みを入れるが、甘い匂いに顔をしかめつつも真剣な顔でチョコに向き合う宵に、同情がないわけでもない。
大山は仕方なく、一つ助言をしてやることにした。