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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
甘い色をたたえる茶色い瞳。それが笑むように細められて、その視線に心臓が高鳴る。
今さらながらに思う。晃は自分の容姿の使い方を、うまく心得ている。
顔を赤らめる宵の唇に一瞬だけのかすめるようなキスをして、晃は宵の手をギュッと握りしめた。
いつもよりも人が多いということもあり宵はとっさに手を引っ込めようとしたが、呆気なく阻止されてしまう。
晃は宵の手を自分の手の中に収めたまま、こんな提案をした。
「宵。これからデートしない?」
「……デート?」
「せっかくのバレンタインだし、連れていきたい場所があるんだ」
晃の言葉に宵は首をかしげる。
休日、晃に誘われたまに出かけたりもするが、デートという言い方はあまりしたことがなかった。
昼を一緒に食べに行ったり、散歩したり、勉強好きな晃の参考書を選びに本屋に出かけたりそんな感じだ。
新鮮な響きに、妙に気恥ずかしい気分になる。
晃は空を見上げた。もうすぐ陽も沈む。
「ちょうどいい時間帯かもな」
独りごちるように呟いて、宵の返事も待たずに宵の手を引き晃は再び歩き始めた。