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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
晃の言葉と共に視界が開けて、宵は灰色の瞳を見開いた。
最高と言った晃の言葉の意味を、すぐに理解する。
展望室は外の景色が見やすいように、半面ガラス張りでできていた。
エレベーターはドーム型の中心に設置してあり、その周りを歩き回れる造りになっている。
ビルの屋上の一部を展望室にしているらしく、それほど広い場所ではないが畳四十畳分くらいのスペースはあると思われた。
バレンタインを意識した装飾の類は一切なく、あまり華やかではない落ち着いた雰囲気の場所だった。
「外、見てみな」
促されるまま、宵は窓に両手を添えて外を見つめた。
「すげー、綺麗だな」
思わず洩れた感嘆のため息に、晃の口元も自然とほころんだ。
すっかり陽が落ちた夕刻、下は様々な色のネオンで溢れている。
人も車も、すべてがミニチュアハウス並みの大きさしかない。
いろいろな色や大きさの光が混じり合い、キラキラと輝いている。
エレベーターの数字を見る限り、確かこのビルは二十階建てだった気がする。
こんなに高い場所から夜景を眺める機会など今までなかった宵には酷く新鮮な光景だった。