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Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
「だっておまえ、いつも女子には優しーじゃん」
「それは性分? ……かな。宵にはもっと優しいだろ?」
「……意地が悪い」
ぽつりと返され、晃が声を上げて笑う。
「それも性分」
晃は宵を抱く腕に力をこめた。
寒さで冷たくなった手が首筋に触れ、その感触にぞくりとする。
冷えた手を温めてやりたい。そんなふうに思った。
「でも、お気に入りの夜景を見せてやりたいって思ったのは宵だけだよ。誓う」
晃の声が、少しだけ甘みを帯びたような気がした。
宵の両腕ごと体を抱きすくめながら、うなじの辺りに唇を押し当てる。
「……っ」
冷たい手に反して、熱すぎる舌の温度。
はやく、全身でそれを感じたかった。
「――あ、そうだ、忘れてた。俺、宵に渡したいものがあるんだ」
不意に晃が思い出したようにそう声を上げて宵から離れた。
鞄の中をごそごそと漁り始める。
「渡したいもの?」
「今日ってバレンタインだろ? だから俺も」
取り出したのは、青い透明な袋に入ったお菓子。
「作ってみたんだ、チョコ」
「は? おまえが!?」