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貴方にジャンキー
第9章 絶望
「ふんっ!ほれ。東郷の鞄。あと帰る前に洗面所寄ってやれよ。」
「悪いな。さんきゅ。」
「なぁに、ヒーローは最後に登場するもんだ。」
「俺は理子のヒーローにはなれなかった・・」
ヒーローは、間に合わなければ意味がない。
「立てるか?」
「うん・・」
俺は理子の腕を掴み、足早に教室を出た。
澤に言われた通り、洗面所に寄り 理子の支度が終わるのを外で待っていると 理子の泣き声が微かに聞こえた。
ダンッ!!と両手で廊下の壁を叩くとそのまま俺も泣き崩れた。
守ってやれなかった・・・。意地を張ってたばかりに・・。俺のせいだ。
もう一度、壁を殴る。
いつの間にか手には血が滲んでいた。