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剛 ing 舞依
第6章 舞依

理科室から教室への帰り
伊澤がみえない
「ヒロくん、剛くんは?」
ヒロは小学校、中学校
『リアルジャイアン』と呼ばれた
暴れん坊だったらしく
がっちり体型で力勝負だと敵わないが
高校での初顔合わせでケンカで勝って以来
一番の連れになってる
「剛なら英語の神崎についてあっちへ行ったよ」
「そう、ありがと」

ヒロが指した廊下を行くと
ファイルのタワーが歩いてきた
伊澤だ
「剛くん?」
「ん?あ、舞依か」
「何やってんの?」
「英語のファイル運び」
「何でまた…」
「先生大変そうだったから」
「…手伝おうか?」
「いいよ重いから」
「重いから手伝うんじゃない」
「大丈夫、剛くんの力なら楽勝楽勝」
「そうだろうけど」
「…じゃあこのファイル持って」
と左手の小指に挟んでいたファイルを突き出してきたので受けとり
伊澤が歩き出したので
仕方なく軽いファイル1つ持って着いていく

そう遠くはない英語の準備室に着くと
伊澤は手際よくファイルを棚へ並べていく
「…いつもやってるのか?」
「まぁ、気がついたらね」
「よくやるよ」
「でもほら、剛くんの身体だと楽々!脚立も要らないし」
「役に立てて良かったよ…これは?」
「あっ、それ最後ね、それは、それは…あっ、あそこだ!…けどさすがに剛くんの背でも届かない」
「脚立持ってこうか?」
「いやいい。舞依持ってて」
「ああ…わっ!」
伊澤が後ろに回り込んだと思ったら
脇の下を抱えられて持ち上げられた
「届く?」
「と、届いた…ちょっと、落とすなよ」
「落とすもんか…それっ」
ファイルを棚へ置くと急降下して

伊澤の胸に抱っこされた感じ
「舞依はカワイイな」
ってまた顔を近づけてくる
「ち、ちょっとまて!」
がっしり抱えられているので逃げられない!
「愛してる…」
「…」
ヤバイ
だめだ
もう唇と唇が触れ…
ガラッ
目の前の扉が開いた!
「コレっ、あんた達何やってんの!」
英語教師と隣のクラスの女子二人!!
唇は助かったが
こっちもヤバイ状況だ
「あははっ、やべやべ~」
伊澤は俺を下ろすと手を引いて
二人そそくさと準備室を出ていく
「二人とも、昼休み、お弁当食べてからでいいから職員室へ来なさい!」
ヤバイ~生活指導だ~
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