この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あいの向こう側
第1章 凪に沈む
(ああ、
嫌だわ。
ゴミばっかり)


佐川梅乃【さがわうめの】は、
割烹着姿で陽に焼けた手を後ろ手に組んでぼやいた。



目の前には海が広がっている。
西日本の端に位置する、
海辺の漁師町。


47歳。

7年まえ、40のとき。夫が乗った漁船が転覆した。
漁師としてベテランだった夫は、あっけなく他界した。

哀しみに沈む梅乃を、
都会に嫁いだ娘2人が必死に励ました。


煙を見送って半年間は脱け殻のように呆けていた。

娘の励ましにより、
夫の死を理解して立ち上がれるようになっていった。


独り、
海辺の一戸建てで生活するようになって4年半。

夫とは23歳のときに知人の紹介で出会い、
梅乃は隣県から嫁いできた。

寡黙で飲んべえ。
女関係には無縁の真面目な漁師だった。

結婚して直ぐ長女が生まれ、
3年あとに次女が生まれた。

『男じゃねえのかぁ…』
次女が生まれた時に夫はそう呟いた。
跡継ぎが欲しかったのだろう。


――哀しみに深く浸かったからか、
立ち直りが早かった。

町人は家族のように仲が良いし、
独りの生活は簡素ではある。
梅乃は、近所の漁師の手伝いをしながら細々と生きている。



3ヶ月、
近くの古いアパートに若い夫婦が引っ越してきた。
揃って20歳だという。
アパートは近所の隠居老人が大家をしていて、町人は皆若い夫婦を温かく迎えた。


/263ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ