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あいの向こう側
第6章 水になる
彼がナイフ&フォークを置いた。



わたしはその様を見て、
嬉しくなり微笑んだ。


『ご馳走さまでした!
良いんですかぁ?
奢ってもらっちゃって』


12も下の若い男は、
頬を赤らめて頭を下げる。




『いいのよ、
そんなに大袈裟なことじゃないのに……』
わたしは謙遜ではなく、
心底そう思って言葉に出す。



レストランの扉を、
ウェイターが仰々しく開いた。

『今夜はありがとうございました』
頭をゆっくり優雅に下げるウェイター。





通りに並んで出ると、
彼はわたしの顔色を窺うようにチラチラと見遣る。


『なあに?』


『あ、あの……
由布子【ユウコ】さんち、行って良いですか……』


わたしは足を止めた。

彼を見ると気まずそうに視線を反らしている。


『sexがしたいということ?』
わたしは直截的に訊ねた。
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