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プリズムのかけら
第1章 Naked Mind
名古屋に越してきて一ヶ月。そう、まだ一ヶ月しか経っていないんだ……が、俺にとってこの一ヶ月は余りにも激動の日々で、なんだか老け込んだような気分に追いやられている。地元東京に残してきた彼女、サーヤとは、こっちの大学に来てから遠距離恋愛になった。そりゃあ不安で不安で堪らなかった……けど、ジタバタできる性格じゃない俺は、とりあえず離れる前に手だけ付けといて、さほど頻繁に連絡する事もなく、……まぁ、格好つけていたんだな。湧き出る独占欲を、彼女には見せずにいた。

そしたら見事に、浮気された。しかも弟に、寝取られた。更に最悪なことに、オレはその現場を目撃し、その後……、彼女を犯した。それが、ついこないだのこと。まだ自己嫌悪が渦巻く中で生きている。

「そうやってありのままでいてくれたら私、きっともっと好きになってたと思う」――別れ際、彼女にそう言われたことを思い出しては、胸を痛め続けている。けど、この俺が……、そんな風に誰かに甘えたり、感情をさらけ出すことが出来る日が来るのだろうか……?あんな風に、欲望をぶつけて犯すような真似は、もう勘弁だ……後味が悪い。そう思ういながらも、あの時に得た興奮と快楽が忘れられず、やり場のない性欲を持て余す羽目にもなっていた。


そんな俺が今日、三十人ほどが集まる大学の飲み会で出会ったのは、真咲愛乃という先輩。彼女は四年生だから、一年の俺より三つ年上だ。けど、見た感じかなり幼い印象。まるで高校生だ。
「神山くんってかっこいいよねー!」
「あ、はぁ……」
素直に真っ直ぐに綺麗な瞳でそう言われると、俺は申し訳なく感じてしまう。
「モテるでしょ?彼女いるよね?」
「あ~先輩、それ今のコイツには禁句っすよ」
友人が代わりに答えてくれてホッとする。
「え、なんで?どうして?」
この人は、天然なのか……?遠慮というものを知らないのだろうか。
「……ふられたばっかなんですよ」
酒もまわってきていた俺は、不機嫌にそう吐き捨てた。

「えーっ?そうなんだ。じゃあ私と付き合おう?」
「ハァッ!?」
仰天した。なんなんだこの女。酔ってるのか!?
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