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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第7章        

「ふふ、くっつき虫だったなんて」

 そんな風に揶揄された匠海は、片眉を上げて少し困った様な表情を浮かべたが、

 その指先は、女性の下唇を執拗に辿っていて。

「失望、させましたか?」

「いいえ、そんな匠海も可愛くて好きよ。でもそういう姿だけは、私以外には見せないでね――」

 女性の少し引っかかるような言い方に、匠海は肩を竦めてみせる。

「俺には、麻美さんだけですよ」

「また――。知ってるのよ、貴方が結構遊んでるってことは」

 麻美と呼ばれた女性は、悪戯っぽく匠海を睨んだ。

「困りましたね。でも――」

「でも?」

「麻美さんが、俺にだけイイ顔見せてくれるなら、考えますよ」

「バカ……」

 そう囁いた匠海はソファーに麻美を押し倒し、

 家族には今迄に見せた事の無い、獲物を捕らえた肉食獣の如き、餓えた瞳を麻美に向ける。

 一方の麻美は「ここじゃダメ」と、匠海の広い胸を下から押し返すが。

「大丈夫です。弟達はまだ学校だし、誰もこの部屋には通さないように、言ってあります」

「で、でも、こんな明るいうちから――」

「そんな事を言いながら――ほら、ここはもう準備万端なのでは――?」

 匠海はくつりと嗤うと、麻美のミニスカートの裾から手を忍ばせ。

 その指が太ももを触りながら、どんどんと奥に入って行き、脚の付け根の辺りで止まった。

(んな゛……――っ!? お、お兄ちゃんったらっ どこ触って……?)

 己の心臓がどくりと啼く音にさえ、驚くも。

 何故か目を逸らせず、一部始終をただ見せられていたヴィヴィが、驚嘆する。

「んぁっ!」

 女性が発した声音は常とは違い。

 ヴィヴィは「もしかしてそんな所を触られて痛いのでは?」と少し心配になり、ちょっとだけ身を乗り出した。

「いつからこんなに濡らしていたのです? そんなに俺が欲しかった?」

 匠海が手を動かすと、その言葉通り、くちゅりという水音がして。

(え……? な、なんでそんなところが、濡れるの?)

「あっ ぁん! だ、だって、匠海……休みが合わなくて、中々会えなかったしっ」

「凄いですね……、まだどこも触っていないのに、潤みきって……。俺の指、どんどん入っていきますよ?」

(え? え……? 何を、しているの――?)

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