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第11章 風香と陽子

　風香が答える。

「別に何も進展はないよ。こないだ、告白してきてくれたとき、お断りして以来……ね」
「そう、それそれ。何度も言うけどさぁ。なんで、断るのよ～。また、『例の彼』が原因？」

　陽子が言う「例の彼」とは、悠のことだ。

　風香は成り行きで、悠と自分の関係についてを、さらっと話してあった。

　もちろん、関係を持ったことなど、立ち入ったことは話していないが。



「うん、まぁ……。そんな感じかな」

　風香は曖昧に言葉を濁した。

　しかし、陽子は納得いかない様子で言う。

「その彼とは、結局お付き合いしていないわけじゃん？　向こうが風香をどう思ってるかも分からないんでしょ。だったら、いい加減、綺麗さっぱり諦めて、次の恋に行った方がいいと思うな。せっかくの大学生活、楽しまなきゃ損だよ！」