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桜舞うあの日のままで
第20章 桜舞うあの日のままで
「……ありがとう……! 私もずっと好きだった……!」

「え? ホントに?」

 目を丸くしながらも、風香を優しく抱き寄せて言う悠。

 恍惚の表情で風香が答えた。

「うん……。でも、ずっと言い出せなくて……。……じゃあ、真奈美さんは悠の恋人じゃないんだよね?」

「ああ、もちろん。そりゃ、もし恋人が出来てたなら、風香に隠さず報告するはずだろ」

「……本当にありがとう……」

「いや、こちらこそ」



 二人はそのまま長い間、抱き合っていた。

 時折、互いの身体を優しく撫でながら。

 窓の外からは、満開の花をつけたあの桜の木が見えていた。


                    【完】




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