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桜舞うあの日のままで
第13章 風香と俊樹
「風香ちゃんは、僕と一緒に歩いていても楽しくないだろうに……付きあわせてごめんね」

 風香は慌てて否定する。

「そんな……楽しくないなんて思ってないよ! あの講義を一緒に受けてる友達は、掛川君だけなんだし、わざわざ別々に帰る必要もないし……」

「僕のことは『俊樹(としき)』って呼んでって言ってるのに。つれないなぁ」

 笑顔で言う俊樹。

 風香は、もうこういう発言には慣れっこなので、愛想笑いを返して言った。

「まだその呼び方に慣れてなくて。でも、俊樹君はホントに、どうして……」

「待った!」

 俊樹は明るい表情のまま、大仰な仕草をみせて、風香の言葉を遮る。




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