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ブルジョアの愛人
第14章 狂器の姿

肩が石のように凝っている。算数のドリルを閉じ、ノートも閉じた。午後の勉強を始めてからもう二時間が経っている。

以前は学校に行きたくないとばかり思っていたが、皆が学校にいる時間に自分だけ自宅にいるというのも嫌なものだ。

今は"学校に行きたくない"のではなく、"学校に行くのが怖い"のだ。端から見れば結局はそれも言い訳になるのかも知れないが、学校が面倒くさくて行きたくないのとは違う。

莉菜は、以前通り登校するため、学校に行かない分勉強にのめり込んでいた。いや、実際のところは、少しでも罪悪感のようなものを消すためだ。

しかしいくら勉強に励んでも罪悪感は消えない。だが何もせずに寝てばかりいるよりは精神衛生的にも良いだろう。

莉菜は、週に一、二度真緒達が訪ねて来てくれなければ、勉強さえやる気にもなれなかったのではないかと思う。

彼女達の訪問が今の唯一の楽しみであり、支えでもある。陽平など、莉菜を気遣って私物の文庫本を何冊か持って来てくれたのだ。

貸してもらった本は勉強の合間に読み進めている。まだ一冊目だが、半分近く読んだ。友情をテーマにした小・中学生向けのライトノベルだ。
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