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あの子のとりこ
第2章 長い夜
「♪〜♪〜♪」
榎本と店を出てから、自宅へ向かっていた恭一の携帯が鳴った。
「…」
発信先は公衆電話からだ。
「もしもし…?」
電話越しからは聞き覚えのあるすすり泣きが聞こえる。
「ナナミ?どうしたんだ?!」
「…グスッ…恭ちゃん、助けて…」
「今から行くから!そこにいろ!!」
居ても立っても居られず、恭一は走りだした。
ーーーーーーーーーー
恭一は駅前のロータリーにしゃがみ込むナナミの姿を見つけた。
「ナナミ!」
ひたすら走ってきたナナミの脚には靴が片方無く、服は何度も転んだのか土汚れがついていた。
「きょぅ…ちゃん…」
「…とにかく一度僕の家に行こう、こっから近いから。」
恭一は近くのタクシーを止め、ナナミと一緒に乗り込んだ。