この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あの子のとりこ
第2章 長い夜
タクシーは駅から10分くらいのマンションで止まった。
「ーさ、入って。」
震える身体をそっと支えながら部屋の中へ促し、ソファーへ座らせた。
部屋の中にはパソコンデスクにテレビ、大きな本棚がある。他に目立つ物もなく、キチッとしないと気が済まない恭一らしいシンプルな内装だ。
「服はこっちで洗うから、風呂へ入ってこい」
「うん…」
言われるがまま、バスルームへ案内された。
パタンー…
バスタブには湯が張られており、ナナミは全身の土埃をシャワーで流してから入った。
(暖かい…)
さっきまで震えていた身体に染み渡る。
「恭ちゃんに迷惑かけちゃったな…」
恥ずかしさと後悔にに大きなため息がでる。
「ナナミ?」
「!」
ドキッ
突然扉越しに、恭一が声を掛けてきた。
「大丈夫か?」
ナナミの心臓が飛び出るほどドキドキと脈打つ。
「ぅ…ん!大丈夫!もう少ししたら出ます」
「ゆっくりでいいよ、ナナミの服すぐ乾きそうにないから僕のだけど…着替え置いとく。」
足音はすぐに遠のいていった。
(どうしよ、恭ちゃんの声にドキドキする〜…)