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あの子のとりこ
第4章 同居人

恭一side


「…ほ、星川先生、どこか具合でも…?」


気がつくとまた教頭が、心配そうに声をかけてきた。

「なんともありません。大丈夫です」

やばい、全く聞いてなかった。


教頭に呼ばれてきたものの、話の内容は頭に入っておらず、とりあえず返事を返した。


「じゃあ決まりですな!19時からこの場所ですので時間厳守でお願いしますね」


店の地図のついた名刺を渡された。

「…分かりました。」


ずっと上の空だ、自分でも自覚している。


今まで付き合った女性は何人かいた。


相手から告白されて付き合ったのが殆んどだ。


なんで断らなかったかは、付き合う内に相手に愛情が湧いてくるんじゃないか、ナナミを忘れる事が出来るのではないか期待したからだ。

現実的に言えば10歳も年下の女の子を好きになるなんて、ロリコンの所業ではないかと思っていた。


なので、大学時代は“来るもの拒まず”だった。

だが、いざセックスとなると勃たなくなる。



僕は異常な性癖を持っているのかと悩んだ時もあった。

再会したあの日ーー

久しぶりに成長したナナミに驚いた。あんなに綺麗になってー…

そしてナナミに触れた瞬間、自分が自分でなくなる。



全身が脈打ち、触れるだけで指先に電気が走る。

キス以上を求めてしまうのだ。



でもあの時僕に触れられたナナミの顔は怯える表情だった。
気持ちばかりが焦った結果、あんな顔をさせてしまった。





「ちゃんと謝らないとな…」


自分から「好きだ」と告白した事実はもう変えられないが、今ならまだナナミの「兄」に戻れるかもしれない。
嫌われて離れていくよりは、まだマシかもしれないな…。


あの子の口から本音を聴き出さず、このまま気持ちを殺してしまえば余計に傷をえぐることもない。
結果、逃げてしまいたいだけなんだ。

僕は…
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