この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あの子のとりこ
第5章 嫉妬
恭一side
急ぎタクシーに乗り込んで着いた先は都内でも有名なホテルだ。
ホテルの1階のバーラウンジには榎本の姿がある。
「星川!」
いつも飄々とした奴が珍しく、声には焦りがあった。
「悪りぃ…この間、星川のマンションにあの人押しかけたろ?勘が良いのか…白鳥理事経由で教頭が仕方なく佐野の個人情報話を漏らした。本当に妹なのかどうか疑って。」
またか…あの教頭は。
榎本は白鳥理事の娘と何度か身体の関係があったらしい。
僕が彼女との見合いを断った辺りだ。
別に身体を重ねただけで、榎本にも特別な感情はなかったのだが、彼女の口からナナミの名前が出た事に僕に連絡してきたのだった。
「それで、ナナミが本当の妹じゃない事をダシに僕を呼べ…と?」
榎本は真っ直ぐに頷き返した。
「あとは大体、電話で話した内容の通りだ…。彼女は今このホテルの最上階に部屋を取って待ってる。」
「わかった…。」
ルームキーを受け取り、胸ポケットへ忍ばせた。
「辰也」
榎本はうつ向き気味にグラスを持っていた手がピクリと動きを止める。
「少し協力してくれ」
急ぎタクシーに乗り込んで着いた先は都内でも有名なホテルだ。
ホテルの1階のバーラウンジには榎本の姿がある。
「星川!」
いつも飄々とした奴が珍しく、声には焦りがあった。
「悪りぃ…この間、星川のマンションにあの人押しかけたろ?勘が良いのか…白鳥理事経由で教頭が仕方なく佐野の個人情報話を漏らした。本当に妹なのかどうか疑って。」
またか…あの教頭は。
榎本は白鳥理事の娘と何度か身体の関係があったらしい。
僕が彼女との見合いを断った辺りだ。
別に身体を重ねただけで、榎本にも特別な感情はなかったのだが、彼女の口からナナミの名前が出た事に僕に連絡してきたのだった。
「それで、ナナミが本当の妹じゃない事をダシに僕を呼べ…と?」
榎本は真っ直ぐに頷き返した。
「あとは大体、電話で話した内容の通りだ…。彼女は今このホテルの最上階に部屋を取って待ってる。」
「わかった…。」
ルームキーを受け取り、胸ポケットへ忍ばせた。
「辰也」
榎本はうつ向き気味にグラスを持っていた手がピクリと動きを止める。
「少し協力してくれ」