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雨の日は、君と。
第2章 予期せぬ再会
「あとそれから……1時間分だけベッドお借りしても良いですか?」
「えぇ、どうぞ。ただ私はこれから用事があってしばらく席を外すから、次の時間に起こすことは出来ないわよ」
「大丈夫です。少し横になりたいだけなので」
「そう、なら良いわ。あら、もうこんな時間」
保健室の真ん中、天井付近にある壁掛け時計を見て声を上げる。
それから手早く机の上を整理すると『ゆっくり休んでね』と一声だけ掛けて、沼田先生は扉から出て行った。
「さて……お言葉に甘えて、少し横になろうかな」
薬は今さっき飲んだばかりだから、まだ頭痛がするし。
横を見ると白い薄地のカーテンが開かれたベッドは三つ置かれ、その内の入り口側から二番目。
今座っている席から一番近いベッドに私はふらふらと歩み寄った。
「あー……ダルい」
ボフッと重力に従うままベッドになだれ込み、適当に靴を脱ぎ捨てる。
そしてタオルケットだけを肩まで引き寄せ、枕に頭を沈めた。
幾分か頭痛が和らいだ気がする。
「でも……高槻先生の言う通り保健室に来て正解かも。やっぱり、横になってた方が楽だわ」
ここまで送ってもらうのはお断りだったけれど、身体を気遣ってくれた優しさには素直に感謝したい気持ちだった。