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雨の日は、君と。
第2章 予期せぬ再会
「早く……熱、熱を下げないと」
――予想外の展開にすっかり頭からすっぽ抜けていたけれど、彼には熱があったんだった。
そんな重大な事実を今更ながらに思い出す。
こんな時に限って居ない沼田先生を若干恨めしく思いつつ、まずはこの状況から抜け出すことを先決に考えた。
えっと……とりあえず。
「んっ…!」
試しに腕を動かしてみると、あっさりと彼の腕はパタリとシーツの上に落ちた。
……というよりは、ぐったりして身動きが出来ない感じ。
よし、とにかくこの調子なら抜けそう……。
「…よい……しょっと」
体調を気に掛けてやりながら、そっと彼の下から抜け出す。
出られた…!
早速起き上がり全身を見下ろすと服や髪の所々に乱れがあるが、それに構っている暇はない。
「解熱剤……は棚にあるわよね」
彼の身体をきちんと寝かせてあげてから眼鏡を掛け、薬が並ぶガラス戸の棚の前に立つ。
「解熱剤は…………あった」
目線で上から順に追っていくと、市販で売っているような解熱剤の箱があった。
手乗りサイズのそれを取り出し、裏面を確認した上で錠剤を二粒手のひらに乗せる。