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雨の日は、君と。
第2章 予期せぬ再会
「あとは水と……」
棚から少し離れた場所に、簡易の洗面台がある。
そこへと移動してから鏡の下にある蛇口を捻り、台に添えてある透明なコップに水を注いだ。
薬と水、その二つを持ちベッドに急ぐ。
「大丈夫? ほらこれ、解熱剤だから飲んで」
「ハァ…ハァ……」
重そうな瞼がうっすらと開くが、すぐに閉じてしまう。
こんな状態じゃ……やっぱり無理か。
沼田先生を呼ぼうにも、どこに居るか把握していない。
かといって、彼へ無理やり飲ませる訳にもいかない。
――となると。
「…………口移し?」
それしかもう方法が思い付かない。
でも、教師だからって生徒の為にそこまでする必要があるの?
「……ぐ、は……ハァ」
ううん。悩んでいる場合なんかじゃない。
こうしている間にも、彼は苦しんでいる。
刹那――脳裏にフラッシュバックする、公園での無邪気な彼の笑顔。
「これは治療、あくまでも治療なんだから」
自分自身に言い聞かせるように呟いてから眼鏡を外し、思い切って錠剤を口の中に放り込む。
更に手にした水を含み、彼の上へと覆い被さるようにして口づけた。