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雨の日は、君と。
第1章 プロローグ
 

なんて思い出している間にも、しと……しと……と、相変わらず雨は降っている。

頭上ではポツポツという雨を弾く音。

片手には水色にチェック模様の折り畳み傘を持ち、私は学校から自宅への帰り路を少し早足で歩いていた。



背中まである長い黒髪は上半分だけを後頭部で纏め、全身は地味なグレーのスーツ姿。

足下だってお洒落っけの無い黒に白の縁取りのパンプス。

極めつけは銀縁で厚いレンズの眼鏡を掛けていて、視力はかなり悪い。

眼鏡が無ければ、一寸先はボヤけた視界しか見えない程だ。


「帰ったら小テストの残り……採点しなくちゃ」


彼に会いたいと思う一方で、現実は嫌でも後を追ってくる。


23歳。高校の新人教師になって丸1年ぐらい。

生まれたてのヒヨコのようだった自分は、この約1年で少しは成長したのだろうか?

今年は1学年のクラスの副担任となり、得意教科でもあった国語を生徒に教える傍ら。

やっぱり、この職業の難しさを何度も痛感する。


「だからかな……彼に会いたいと思うのは」

 
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