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雨の日は、君と。
第1章 プロローグ

彼は私にとって、いわゆる無くてはならない栄養材のような存在。
つまりは“癒し”なのだ。
彼に会えるのは雨の日だけ。
出逢ったのも雨の日だったから、それがいつの間にか二人の間での当たり前になっていたけれど。
ダンボールの傍で彼はいつも傘を傾けて猫とじゃれている。
それで私が来ると、こう言うの。
また会ったね、おねーさん……って。
「……あ、いた」
自宅のアパートから歩いて10分くらい。
遊具はブランコに滑り台のみというこぢんまりとした公園の一角、草が生い茂るその場所に。
彼はいた。
タンクトップに薄いパーカーを羽織り下には七分丈のズボンを穿いた姿でしゃがみ込み、夜気に蜂蜜色の髪を晒している。
その背後へそっと近づくと、彼はすぐに気がついた。
「また会ったね、おねーさん」
ほらね、やっぱり。
予想を裏切らない彼のセリフに自然と笑みが零れ、その隣に私も腰を下ろす。

