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冷たい月を抱く蝶
第4章 悲しみの記憶と……
人生で一度だけ、死にそうになったことがある。
あれは孤児になってから半年が過ぎた頃だった。
毎日食べ物にありつけずに私はついに路上で倒れた。
路上で倒れることは、"死"を意味していた。
立とうとしても立ち上がれなくて、私は路上で倒れたままだった。
でもその通りには人は多くいたけれど、誰も助けてくれなかった。
そして目の前を裕福な人達が素通りするの。
誰も気にかけていなかった。
その時、私は感じたわ。
この世界は何て冷たいんだろうって――。