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〇〇を教えて。。
第7章 なかなかウマくいかないみたい☆
〔あかれんが〕は想像通りに寂れた宿だ。


長屋造りで、見たところ建築消防法違反だろう。


『レンガじゃないし…………』


思い切り木造だ。

地震があれば一番に潰れるだろうな………



渚はスタスタと宿に入って行く。



『すみませーん!
こんにちはー』

声を掛けると、
小部屋から人の好さそうなお婆さんが『はいよ~。
いらっしゃいー』と顔を出した。テレビの音量が高い。腰が曲がっている。

『ありゃ、珍しい。
キレイなお嬢さんの客さまだぁ』
コロコロと笑う。




『部屋、空いてますか?』
訊ねるとお婆さんは眉をしかめた。

渚に手招きする。


渚は頭を傾けた。

『宿主のアタシが言っちゃあダメだけどね?
こんなトコにあんたみたいなキレイな娘さんが泊まっちゃ危ないよ?
何してるか分からないような小汚いオヤジばっかよ、
大丈夫?部屋に鍵はあるけどさぁ』


ひそひそ話す。



その喋り方がおかしくて、
思わず噴き出した。


『だ、大丈夫です(笑)
ちょっと節約したくて。
日中は用事で外に出ますし』


『そ~ぉ?
何かあったら大声で叫んでね、アタシが箒持って叩きに行くからね』
…………ジョークかと思ったら、
お婆さんは真剣だ。

『ほい、んじゃ名前だけ記帳してくれんかね。
あと料金は当日先払いね』



宿帳というのか。
ノートに名前を記入する。

もちろん偽名だ。


羽乃も___当然だが___偽名を書いているはず。



『は~い、
原田セツ子さんね。あらぁ、お若いのに婆さんみたいな名前だなぁこれ……
1泊3千円だよ』


はい、と千円札を3枚渡す。



『ほい、1階の108号ね。
就寝するときに内鍵があるからかけてね』


お婆さんはまた小部屋に引っ込んだ。



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