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奈落の向こう側
第21章 ここに連れて来られた日からの記憶
男「こんにちは」

弥「こんにちは」

音がかすれて声になりません。

男「こんにちは」

弥「こ・ん・にちは」

今度は慎重に言いましたが
喉がカラカラです。

男「緊張しているんですね」

弥「はい、すみません」

男「そりゃそうでしょう。
旦那以外の男に体を開くんだから」

そう言って私の横に胡坐をかきます。

石鹸の良い香りがしました。

弥「・・・・。」

何て答えて良いのか直ぐには
言葉が出てきません。

自分ではわかりませんでしたが
随分、不安そうな顔をしていたようです。

男「怖いですか?」

弥「いえ、怖くはありません」

男「でも、顔にそう書いてありますよ」

思わず両手で顔を撫でてしまいました。

男「私では不満かね?」

弥「いえ、そうではありません」

男「いいよ、正直にね」
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