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変心
第4章 兆し
マンションの2つ隣の部屋に大学生風の男が住んでいる。

大学生が一人で住む金額のマンションでもないし、社会人かも知れないが。

見た目はイケメンの部類。

しかしその男は私たち夫婦が引っ越してきた当初から私に粘つくような視線を全身に送ってきた。

自分に向けられた男の視線を好ましく思うようになった今でも何を考えているのかわからない苦手なタイプ。


夫が出勤した後、ゴミ出しをしようと部屋を出るとその男もまたゴミ出しをするところだった。

関わりたくない私は会釈をしただけでやり過ごそうとするが、何故か男が私の前に立ちはだかった。

「待ちくたびれましたよ」

何?何なの?

ゴミ出しを待ってた?

何をする気?

笑みを浮かべる得体の知れない男に恐怖を感じた。

「どいてください!!」

「怖っ・・気の強いあなたも素敵ですけどね」

にやけた顔が更に恐怖を助長する。

「どうせあなたは僕のモノなんだから。ねぇ美佐」

「なんで知らない人に名前を呼び捨てにされなきゃならないんですか!気持ち悪い」

私の罵倒に男は全くめげていない。

しかし他の住人の目が私たちに集まったのは都合が悪い様子。

「まぁいいや。また今度ね美佐」

「次なんかないです。顔も見せないで!!」

ドアを強く閉め鍵をかける。

その日私は外出する気にもなれなかった。

昨日夫とホテル帰りに買ったバイブを取り出し秘所に当てスイッチを入れる。

気持ち悪い隣人を忘れようとした行為だったが、人の手では味わえない振動にすぐ気持ちよくなってしまってしまう。

しかし当初の目的は達することが出来なかった。

どんなに絶頂を向かえても隣人の男が頭から離れることはなかった。
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