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adult love 〜大人の恋〜
第10章 青い海で結ばれるのは…
「君たち!大丈夫か!?」

「麗奈!大丈夫かよ!?」

「意識はしっかりしているね。海水も飲んでないようだ…。」

「あの!私は大丈夫ですので……っ…痛っ」

「足をつったみたいで……」

そう言うとレスキュー隊員の人たちは麗奈をテントに運んでくれ、そこで治療…ではなくマッサージをしてくれた。

「しっかり準備運動してから入らなきゃダメですよ?」

「はい……ごめんなさい……」

「でも早く浜辺に上げてくれたお蔭で大事にならずにすんだようだ」

そう言ってマスターさんの方を見た。

「はは、私は何もしてないよ。無事でよかった」

マスターさんは優しい笑顔でそう答えてくれる。

「マスターさんもありがとうございました!」

「マスターさん!ありがとう!」

「流石マスター!」

「…………」

優は俯き黙り込んでいる。

「優?どうしたの?? 優もありがとうね♪」

「いや…俺はなにも…………できなかった……」

優のか細い声は波の音と人の声にかき消された。

「優?今なん……?」

「それじゃあそろそろホテルに行こうか。」

「「「「ホテル!?」」」」

「あの、ホテルなんてまだ予約してないですけど…」

ホテルは海についてから予約すればいいと思っていたし、どこも空いてないようならば日帰りでもいいと思っていたのだ。

「はは、この近くに私の知り合いが経営しているホテルがあるんだよ。さっき確認しに行ったら部屋がまだ空いているようだったから。……それともみんな嫌だったかな?」

マスターさんは少し残念そうな…そんな笑顔で問いかけてくる。

「いえ!元々ホテルを予約する予定でしたし、助かりましたけど……ホテルを経営しているなんて凄い!」

「そうだね。本当に尊敬するよ。」

「マスターさんの知り合いすげぇぇ!そんな知り合いがいるマスターさんもすげぇ!」

「ははっ、ありがとう。それじゃあ行こうか?」

「「「はい!」」」

(本当に凄いなぁ……♪)

ホテルを用意してくれたマスターさんに改めて惚れ惚れする麗奈。

……

少し日が落ちてきた浜辺では優が立ちすくんでいた。

「また……俺は……」

辺りに人は誰もいない。

優の後悔の声を聞いているのは、少しオレンジがかった海だけ。

彼はこの夕日のように、このまま沈むのか…。

はたまた、また新たに昇るのか…。
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