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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】

    ※    ※

 この夜(か、時間は正直には知れないが)、早々にロックドルームに戻された正直は唯より受け取っていた鍵を手に、自分の膝上ほどの高さのチェストの前に立つ。それには二段の引き出しがあり、そのどちらにも鍵穴があった。

 ともかく唯によれば、その中には着替えの類が用意されている、とのこと。着の身着のままに此処に来て三日目を終わろうとする正直にとっては、何はともあれ必要とするもの。いくらシャワーを浴びようとも、同じものを身に着けるのは何処かスッキリとはしない。

 そう思いつつも、若干の不安も伴う。あの唯が用意したものが、果たして真面なものかどうか。彼女自身が身に纏う服といったら、初めて会った時の喪服(のようなワンピース)とそれ以降の田舎の中学生を彷彿とさせるようなセーラー服だった。


 まあ、この際、着替えられるのなら何でもいいか……。


 どうせ此処に居る間、顔を合わせるのは(おそらく)唯のみである。そう開き直った正直は、期待もそこそこに手にした鍵を、まず上の引き出しの鍵穴へ――。


 ――カチ。


 と、軽い金属音は、施錠が解かれた証。それを耳にして直後、正直は徐にその中身を引き出した。

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