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【マスクド彼女・序】
第4章 二日目・三日目【微弱な引力の作用】

「あー、うーん……やっぱ、こんな感じになるわけね……」


 中に畳まれていた服を手に取り、それを広げ確認してから、暫く。正直は、その様な曖昧な感想を呟いている。其処に入っていた服は、僅かに2パターンの上下セット。

 一着目は、テカテカと黒光りする学生ズボンとカッチリとした襟元の純白のカッターシャツ。すなわち、これまた男子中学生のイメージであり、取りも直さず唯とのお揃いといった様相である。

 二着目は、可愛い動物のイラスト模様の、ライトブルーを基調としたパジャマだ。素直にその意図を受けるなら、それは就寝の時に着用すべきだろう。

 とすれば、エデンに赴く際は、やはり中学生セットを選択するのは必然。それを着用し唯と並んだ姿を思い浮べれば、軽い頭痛を覚えた気がした。

 ちなみに、チェストの下の段。もう一方の引き出しも、同じ鍵で開くことができた。そしてその中身は、どこぞのバーゲンセールよろしく乱雑に詰め込まれた、肌着や靴下の類。好みの物を選べとばかりに、色合いもタイプも様々で多様のようだ。


「せめて、ジャージくらい用意してくれたらいいのに」


 そう文句を口にしつつ、とりあえず、履けそうなパンツを物色していた時。正直はふとテレビの下のラックを眺め、この様に思った。


 チェストの鍵をくれたのはいいけど、あのラックも開かないんだよな……。


 正直は服を床に散らかしたまま、テレビの前へ移動。そらから、ダメ元でチェストの鍵をラックの鍵穴に差しこんでみる。

 すると、やや意外なことに――


「あれ? 開くぞ――!」


 スッとスムーズに入った鍵を右に捻ると、チェスト同様にラックの扉も同一の鍵であっさりと開くことができたのだった。


 果たして、その中に入っているものとは――?

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