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三人の王子の物語
第4章 ルートヴィヒの書



チュ…クチュ…



二人の舌は深く絡み合いながらも、それは貪るようなキスではない

そっと愛を確かめ合うような、温かい−−−



「ん……や、やっぱり駄目です!」



突然顔を背け、マリアはルートヴィヒの体を退けた



「マリア……?」

「ルートヴィヒ様には王になる器がございます。この国の民の為にも……」



涙の零れそうなその瞳が自分に向けられないことが王子の胸を締め付ける



「私に器があるなどと……私はロタールの兄上のように豪胆ではないし、シャルルの兄上よりも執着心が強い。人を治める勇気も切り捨てる勇気もないのだ。

そのような者が国の頂点に立つべきではない」

「いいえ、貴方様は誰より優しくていらっしゃいます。真に民の心を理解して……」



ルートヴィヒはマリアの唇に指を当てその言葉を遮った



「君は私を愛してはいないのか?」

「わ、私は……」

「私は優しいのではない。気が弱いだけだ。常に人を立て、自分は物事の矢面に立たないようにする。

そんな私でも…君といる間だけは強くなれた気がする……」



耐えきれなくなったのか、マリアの顔を両手で挟み強引に自分の方を向かせた



「君の為なら何でも出来ると、そう思った! 君がこの国を滅ぼせと言えばそうするだろう! これが王のすることか!?」



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