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お礼の時効
第10章 あなたと一緒に幸せになりたいの
 春季は和臣の体の上にもたれていた。何か伝えなければならない事があったはずだ、それを思い出そうとするのだが先程までの情事の余韻で頭が働かない。身じろぎしていると、和臣に 尻臀(しりたぶ)を掴まれ揺すられた。体の中で和臣の滾ったものが硬さを増したのか、思わず締め付ける。和臣の漏らす息に春季は堪らず煽られた。両手を和臣のたくましい胸に置いて腕の力を籠めた。和臣の滾りを刺激するように腰を揺らすと、和臣の眉間に皺が寄り、切なげな吐息が聞こえてきた。

「は……春……季……」
「まだ……足りないでしょ?」

 ピンと立ち上がった赤い乳首を摘まむと春季の悩ましげな声が漏れた。和臣は肘を支えに上体を起こすと身体を反転し、春季の片脚を持ち上げる。

「奥様はどうやらまだ足りないらしい」

 私もだがと和臣は言いながら春季を見下ろた。
 和臣の瞳の奥に昔見たことのある肉食獣のそれを感じ、春季はぞくりとした。和臣は抽送を幾分か早めているものの、春季からしたらもどかしく感じてしまう。自分に触れている手も指も唇も、すべてが春季には中途半端なものにしか感じず、決定的なものを与えられないまま堪えていた。
 どんどん体の奥に溜まり続ける切なさに、春季が堪らず訴えるが、訴えるたびその唇を和臣に塞がれた。

「どんどん締め付けが強くなりましたよ、春季。もう我慢できませんか?」

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