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お礼の時効
第10章 あなたと一緒に幸せになりたいの
 それから半年後、和臣は春季の元へ戻る。
 しかもその数日後春季は産気づいた。

 立ち合い出産を希望していたが、春季に怒られ諦めた。
 執務室でその時を待っていると、現在は違う検事の事務官を務めている詩織から落ち着くように諭された。

「だって、今ごろ春季は……っ」
「浅野検事が狼狽えていたって、時任弁護士は安産しませんよ? あ、浅野弁護士でしたね、すみません」

 そうしていると和臣のスマートフォンが鳴った。
 電話に出ると病院からで、春季が無事に男の子を産んだことを聞いた。しばらく呆けている和臣に詩織は声をかける。

「どっちでした? 男の子? 女の子?」
「男の子でした……」

 呆けたままの和臣に、詩織はその背を思い切り叩き我に返らせた。

「しっかりしてください! 浅野検事! でないと浅野弁護士に愛想尽かされますよ!」

 その言葉に和臣は口を引き結び、自分の事務官に言い放った。

「今日はとっとと終わらせますので、そのつもりでお願いします」

 事務官は頷いた。
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