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紅い首輪
第6章 6
オフ会から数日、
ゆきはバイト先のコンビニにいた。
日常に戻ってからも、
紅のことが忘れられない。
オフ会の翌日にチャットで、
参加者全員にお礼は伝えたので
せっかく教えてもらったLINEにも
メッセージを送ることもなく
トークを開いては閉じてを繰り返している。
(…紅さんに会いたいな…)
深いため息をつきながら、
それでも仕事中だから、と
接客に集中しようと頭を振った時、
「首、取れるぞ。」
ここ数日、なんならオフ会で
解散した瞬間から聞きたかった声が
聞こえて驚いて顔をあげた。
「紅さん…?」
あの時とは違うワイシャツにネクタイ、
手にはビジネスバッグを持って彼は
店内で入れられるアイスコーヒーの容器を
レジに置いた。
「俺も驚いた。ここでバイトしてんのな。」
驚きすぎて声がでないゆきは必死に
頷きながらレジを通してお金を受け取った。
「今日、何時まで?」
「…っ。20時には終わりますっ。」
「そのあとは?」
「いえっ、何もないですっ。」
紅は腕時計を確認してから、
ゆきの頭をポンポンと叩き
「終わったら裏口で待ってな。」
と言い残して去っていった。
ゆきはそれからの2時間、
ミスしなかったのが不思議なくらいに
まったく記憶がないままバイトを終えた。