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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
「勿論あなたひとりで行かせません。明日の5時、俺と三上さんと三人で乗り込みます」
「えええ!? 全員で!?」
「勿論、俺達の身柄の引き渡しのためではない。本当はあなたとふたりで行こうと思っていましたが、三上さんが自分も行きたいと」
「うん。杏奈ね、……今度は逃げずにあいつの目を見て、言いたいの。杏奈の大切な人達を傷つけるな、杏奈の生きる居場所を奪うなって」
杏奈の目には、揺らがない強靱な光が宿っている。
「杏奈……。でも乗り込むって、一体なにを……」
「……向島専務が言っていたでしょう」
レンズ越し、朱羽の目が残忍な光を宿して細められた。
「完膚無きまでに叩きつぶせと」
くつくつと喉元で朱羽は笑う。
「……俺はちゃんと向島専務に警告をした。それでも踏み込んでくるのなら、俺は容赦しない」
「おお怖。朱羽がキレたら、訴訟どころの話じゃねぇぞ。向島も」
専務の声には、朗としたものがある。
「うわ、香月、ワルの顔してる!! 俺、お前に惚れそ!!」
結城も愉快そうだ。
「俺も、課長に惚れそう「やめな、あんたが言うとシャレにならないから」
「真下ちゃんに一票!」
「真下さん、三上さん、酷いっす!!」
「まあ、カバ。お前は、俺達の分も溜めた怒りをあいつにぶつけていいからな。俺もいい加減頭にきたから、思い知らせてやりたい。俺のことは考えるな。……あいつを逆上させるのが、お前の役目だと思っていろよ」
宮坂専務が笑いながら言う。