この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
――香月が面白いことを聞いてきたから。
ここに来る前に社長にそう言われたことを思い出す。
きっと朱羽は口座を作ったことを思い出し、社長に相談したのだろう。それできっと、杏奈と各社員になりきって株を買っていったんだ。
……お金どうしたんだろう。
「もう既に忍月コーポレーションの副社長経由でお聞きとお思いですが、結城さんを社長にするための決議の臨時株主総会をする予定です。貴社の株主総会は今月でしたね。株主の発言権がいかに大きいか、ご存知のはず」
「全員でくるというのか、1%ずつ……まさか!!」
「午後六時――。三上さんの作ったプログラムで自動的に、私達はすべて結城さんに譲渡しました。さきほどの電話か秘書が、この事実を告げに来たのだと思いますよ。……そして二週間後に迫る貴社の定例株主総会で、全体の25%を占める株主としての発言力で、結城さんに問題提起をして貰います」
「問題提起?」
朱羽が笑って今度はノート型パソコンを取り出した。
パソコンは電源がついていた。
「もしかして専務室にはテレビがないかなと思って持ってきましたが、ちょっと電波が悪いようなので、テレビをつけさせて貰います。鹿沼さん、お願い出来ますか?」
60型テレビが横の応接セットの奥にある。
一応は専務の了承を得てからテレビをつけると、なにやら中継がなされている。……あたしはそれを見て、リモコンを落とした。
それは記者会見のようで、今喋っているイケメン弁護士の横に木島弁護士とあり、さらにそこに結城と衣里が座って、ぱしゃぱしゃとカメラマンのライトを浴びていたのだ。
「な、なに、これ……」
木島くんのお父さんがこんなにイケメンなのかということでもちょっとは驚いたけれど、一体なんで彼らがテレビに映っているのだろうか。