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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
木島弁護士の声が響く。
『――ということで、当社でも他の調査機関においても、すべて向島開発の社員であり名前など特定できていおり、裁判所に証拠品として提出しました。向島開発の指示があったものとして、当社は威力業務妨害、名誉毀損と損害賠償訴訟を起こしました』
逆訴訟?
『――また、これに限らず、向島開発の数々の不正の証拠があります。たとえばそのひとつ、コストを抑えるために粗悪品を売っていたことも、会社ぐるみであるという証拠がありますので……』
「え、なにこれ……。不正? なんでこんなに記者が……」
「ああ、渉さんが呼んでくれたんですよ、マスコミ各社。そうじゃないと、大きくして貰えませんから」
あたしは慌てて腕時計を見た。
六時を過ぎていた。
――では渉さん、六時で、連絡をお願いします。
結城にも電話で言っていた。
これか!
「不正は、色々ありますけど、その中のひとつが昨日から今日に書けてのシークレットムーンを叩いている人達の書き込み。ちょっとゆきすぎていましたからね、まあ思う壺だったんですが」
「もしかしてIPとか既に割り出してたの?」
「はい。昨日専務が来た時点で予想してましたから。さらに言えば、三上さんが作ってくれた株プログラムは、ある一定の株価以下になったら買いの動きをしてくれます。向島は力で抑えられなかったため株価がさがるでしょう。そこにひとり2%の株を25人が持つだけで50%の株主となり、それをすべて譲渡された結城さんがこのことを株式総会で騒いだらどうなるでしょう?」
朱羽は残忍な顔でにっこりと笑った。
「結城さんは向島の圧力がかかるほど、好戦的になって負けませんから。そんなひとがシークレットムーンの社長になって、向島開発の50%の株主となって、向島開発を追い詰めたら、向島財閥は責任をどこに求めるか」
つまり、今シークレットムーンをどうにかしようと忍月の副社長と結びついて動いている向島専務が、責任をとらされるだろうことは容易に想像ついた。